三番目の猫
一時期 社宅に住んでいた
大きな声では話せない そのころのお話
ペットを飼ってはいけなかったのですが
ある日のこと
自転車の前にひょっこり出て来た子猫
喉をならしながら
私の足にすり寄ってきました
ゴロゴロといいながら
私を見上げ 目を細めます
誰かに会わないかと
ドキドキしながら
早足で
子猫を抱いて部屋に入りました
「見つかると
ここに居られなくなるから
静かにしてね」
段ボール箱で
間に合わせのトイレを作り
子猫との生活が始まりました
ごはんにしようね と言っても
ヒモを相手に 戦いの踊りをしても
子猫は声を出さないのです
名前を呼ぶと 私を見上げ
目を細めて ゴロゴロと答えてくれます
ああ 声が出ないんだ
でも ちょうど良かったのかもしれないね
それから 約一年後
一軒家に引っ越しして
大きくなった猫を床の上に降ろし
「今日からここがお家だからね」
と言うと
猫は私の顔を見上げ
目を細めて
「にゃあ」
と可愛い声で鳴いたのです
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